おじいちゃん・おばあちゃんは宝物

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冷蔵庫に首を突っ込んでみかんを取り出しながら「あーあ、おじいちゃんがいたらちゃんと皮をむいて、ハイみッちゃん食べなさいって言ってくれたのになー。」

高校一年にもなる娘の、目が点になりそうな発言に小言を言おうとして、辛うじて思い留まった。

この子にとっておじいちゃんがどんなに大事な存在だったか。一年前、大好きなおじいちゃんが癌の身上を頂いて出直してからというもの、一時は精神的にもかなり不安定になり、胃腸障害や過呼吸を頻繁におこし、随分心配をした。

同じころ、中学の校長先生との面接で「あなたの尊敬する人は?」と聞かれ、彼女は即座にこう答えた。「私は祖父を尊敬しています。なぜなら祖父はどんな時も自分のことはさて置いて、相手を喜ばせたいと考えている人だからです。」その子が今、こうして心の中のおじいちゃんと対話しているのかと思ったら、私の腹の虫も治まった。

二十何年も昔の話だが、私達夫婦が結婚するとき、両親の言われることには素直に従おうというのが、ただ一つの約束事だったように思う。子どもを授かり、自分たちが親となってもその姿勢だけは貫いたつもりでいる。

ある方から「ご主人に素敵な話を聞きました。」と言って教えて頂いたことがある。次男は小さいときから食べ物の好き嫌いが多かった。家族で食卓を共にするとき、主人は次男が嫌いなものも食べ終えるまで席を立たせない。泣いても許してはもらえない。
ところが、たまに横から父が「まあええやないか。」と一言発したら、その日はそれで無罪放免である。主人はこのことについて「子どもの目には、お父さんはおじいちゃんに勝てない弱虫なんだと映っていたと思いますか。次男は私の背を越すほどになりましたが、いまだに好き嫌いは直っていません。しかし、私が親を大切に思っているということは理解してくれていると信じています。」と語ったという。
その方は「とても考えさせられました。何気ない親の行動が、子どもに与える影響は大きいですものね。私も日頃の親への口のきき方に注意しなければ。」と仰って下さった。

忙しい現代に暮らしていると、何だか時間が駆け足で過ぎていくようで、後ろを振り返る余裕も無い。おじいちゃんおばあちゃんがいて、今の私達がある。そして、それに続く子ども達がいる。命の永い永い歴史が私達一人一人の後ろにはあるのだ。

先日、アフリカを旅した主人はザンビアで日本大使に会う機会を得た。大使は「その昔、何万、何十万という遣隋使、遣唐使が中国に渡り、学問や技術を学んで帰り、その礎と努力をもって今日の日本が築かれた。日本はたった一人でここまで大きくなってきたわけではない。数多くの恩を受けてきている。今、私はここザンビアでそのご恩返しをさせてもらっているにすぎない。」と話されたそうだ。
こんなすごい考え方の出来る人もいるんだと胸が熱くなった。

家族を木に例えると、おじいちゃん・おばあちゃんは根、お父さん・お母さんは幹、そして子どもは枝葉と聞かせていただく。枝葉が繁って太い幹になるためには、根にしっかりと肥やしをかけてやることが大切だ。間違っても枝葉に肥やしをかけたのでは、その木は枯れてしまう。我が子可愛さのあまり、家の中での順序が逆になってはいないかと常に反省したい。

さて、寮に戻った娘から「敬老の日」にといって手紙を預かった。封筒の表には「おじいちゃん・おばあちゃん、いつもありがとう」と書いてあった。「おじいちゃんはもういないよ。」という主人に、「いいの。おじいちゃんはちゃんといるんだから。」娘にとっておじいちゃんは今でも家族。家族って減らないんだなあと、感慨深い思いがした。

2002年 天理時報特別号「人間いきいき通信」掲載
執筆者:吉福多恵子


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