ほめて 笑って ダイエット

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「お父さん、今朝は何グラム?」

「そうだなあ、昨日はちょっと食べ過ぎたから、120グラム」

「お母さん、おばあちゃんは何グラム?」

「そうねえ、おばあちゃんは100グラム、と言いたいところだけど、このところ食欲ないし、80グラムは絶対食べてほしいよねえ。お母さんはいつものように110グラムでお願いします」

私たちのことをお父さん、お母さんと呼んでくれるこの子は、3か月ほど前にやってきた、わが家の里子ちゃんです。もうすっかり家族にとけ込んで、今日も朝食の手伝いをしてくれています。

さて、近頃わが家の食卓では、計量器が欠かせなくなりました。そのいきさつは、ちょうど一年ほど前にさかのぼります。

私の住む地域では、市民の健康意識を高め、また病気を早い段階で見つけるために、毎年一度、特定検診を受けるよう制度が整っています。先般、夫婦で受診したところ、見事に二人とも要注意に引っかかってしまいました。

ところが、町のかかりつけ医院に定期的に通っている夫は、医院で毎回保険指導がされているものと見なされたためか、私一人にアフターフォローを知らせる郵便物が届いたのです。

同じように要注意の人を集めて、話を聞いたり体操をしたりする催しは、不定期に出かけることが多い私にはなかなか参加することができません。しかし、個別の指導があることが分かり、意を決して申し込んでみました。

私の担当として来てくださった保険師さんは、とても明るく気さくな感じの方で、肥満のメカニズムを資料を使ってわかりやすく教えてくださり、私の生活に合ったダイエット計画を、一緒に考えながら作成してくださいました。

 食生活では、毎食野菜を多くとることと、ご飯は130グラム。そして適度な運動。ウォーキングと筋力アップのストレッチ。これがその内容でした。

いよいよ実行開始。初めてご飯を計量しようとしたところ、夫が横から「僕も130グラム」と声をあげました。ウォーキングに出ようとした時にも、「あっ、僕も……」。こうして私のダイエット計画は、二人のダイエット計画となったのです。

旅は道連れ……やっぱり一人より二人ですね。しかも、夫は自分から進んでやりだしたので意識が違うのでしょうか。今までは、誰が何と言おうと食べたいだけ食べていたのに、180度方向転換。間食をきっぱり止め、コーヒーはブラックに、身体にいいと人気が高まっているごぼう茶を手作りするなど、ダイエットの優等生になりました。

初めのうちこそ同じように体重が落ちていたものの、少しずつ夫がリードしていきました。

今から思うと、その頃からでしょうか。毎月、信者さんの家を訪ねるのですが「あら、会長さん。ちょっと痩せましたね」。次の月に行くと「あら、会長さん。後ろ姿がスラッとしましたね」。別の家を訪ねると、「まあまあ、会長さん。すっかりカッコよくなっちゃって。見違えましたよ」。そしてまた別の家では、「会長さん、すごーい!」。

こんな調子で、どこへ行ってもみんなに褒められて、褒められるからまた頑張って、夫はとうとう13キロも痩せました。

こんなわが家にやってきたのが、先ほどの里子ちゃんだったのです。

里子に来る子どもたちは、ほとんどが家庭の味を知りません。お父さんとお母さんの仲が良く、親が子を見守り、子が親を見習って一人前の人間に成長していくような、温かい家族関係というものを味わわずに育ってきた子どもたちが多いのです。

「お父さん、カッコいいよね。ジーンズがよく似合うでしょう」

「お父さんって偉いんだよ。さっきもご飯をもうちょっと食べたいなあって言いながら、ガマンしていたんだよ。すごいよねえ」

 こんな調子で私が夫を褒めるのを、はじめは面食らって聞いていました。

 ところが、「あいちゃん、おはよう。よーく起きられたねえ。頑張ったね」

「あいちゃん、洗い物を言われなくても手伝ってくれて、お母さん、すごく助かるわ。ありがとう」と、どんな場面でも頑張りを褒め、また誰かれにも、「可愛い里子ちゃんが来てくれてね。家の中に花が咲いたようなのよ」と話をしているのを、聞いていたのでしょうか。

 やがて、来た時のギスギスした心が、みるみる穏やかになってくるのがよく分かりました。そうすると、ますます笑顔が増え、そして周りの人からも褒められているうちに、気がつけば里子ちゃんの言うことが変わってきたのです。

「ねえねえ、お母さん聞いて。昨日お母さんが留守の時、叔母さんがご飯を作ってくれたんだけど、叔母さんって料理上手だよね。めちゃくちゃ美味しかったんだよ」

「お母さん、今日髪の毛切って学校へ行ったら、友だちがすぐに気がついてくれて、前より可愛いよって言ってくれたんだよ」

 相手を褒め、また褒められたことを心から喜ぶ、素直な心が育ってきたのです。

「嬉しいねえ。この子が来てくれて本当に良かったね。楽しませてもらえるね」。夫と私も、事あるごとにこんな会話を楽しんでいます。

 さて、ダイエット計画は、夫のダイエット成功という思いもよらない結果となりました。そう、肝心の私のほうは、申し訳程度に痩せたぐらいで恥ずかしい限りです。

 しかし、今回のダイエット計画のおかげで、言葉がどれほど人を動かす大きな力になるかを、あらためて感じました。

天理教の教祖「おやさま」は、明るく勇んだ心で日々を暮らす「陽気ぐらし」という生き方を、その身をもって示してくださいましたが、その中に、優しい言葉をかけて、人を勇ませることはとても大切なことだと教えてくださいました。

つい、「言わなくても分かっているだろう」と思う心が誤解を生むこともあるし、言い方を間違えて、相手を傷つけてしまうこともあるでしょう。いつでも、「どんな言葉をかけようかしら」と言葉を磨いて、相手に届けたいものですね。  さあ、そろそろ里子ちゃんが帰ってきます。とびっきりの「おかえりなさい」を用意して、待っていたいと思います。


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