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人生相談からみえてくる家族

二月三日は節分の日。そして、我が夫の誕生日です。息子家族が同居するようになり、里子も合わせて十人家族の今日この頃、この日は教会の夕づとめの後に、神殿で豆まきをしました。

夕食は、夫のささやかなバースデーパーティーです。今年のメインメニューは私の恵方巻きと嫁のヒレカツ。みんな「おいしい」と言って食べてくれました。ちょうど頂き物のロールケーキがあったので、ろうそくを立てたら、三歳の末の孫がおじいちゃんのひざによじ登って、自分で吹き消そうとします。その姿に、みんなが笑顔になりました。

小学二年生の孫からは、飛び出すカードのプレゼント。開けてみると、赤鬼が飛び出てきました。学校が終わってから、宿題やお手伝いの合間に見つからないように作ったのでしょう。その心ばえに嬉しくなりました。

四年生の孫は、何やら大事そうにお菓子の箱を持ってきました。ふたには「今年の運勢はどうかな。占ってみよう」とあります。夫が開けてみると、四角く折りたたまれた紙がたくさん入っています。おみくじです。

「おじいちゃん、引いてください」と促され、夫が一つ引きました。結果は大吉。「今年は一年元気に過ごせるかも……」と言葉が添えられています。

 みんなが「いいね」とか、「すごい」とか、口々に言いながら拍手を送りました。おみくじの紙はたくさん入っているので、みんなも一枚ずつ引くことができました。「大吉!」「大吉やー!」と、次々に喜ぶ声がします。

 私は小さな声で孫に聞きました。「もしかして、この中、全部大吉なの?」

すると、「うん、そうだよ」。

「な~んだ」種明かしをすれば、そういうことだったのです。それでも、誰一人嫌な顔をする者はいません。そうなんですね。誰だって、これから一年がどうなるかなんて分からないのです。それでも、誰かに「大丈夫だよ」と言われると、こんなにも心が安らぎ、テンションが上がるものなのだと、不思議な感動に包まれました。

 さて、私は五年前から、天理教の発行する新聞『天理時報』で人生相談の回答者をしています。まだまだ人生半人前と思っていた私ですが、年だけは重ねてきて、本人が一番びっくりするようなお役が回ってきたのです。

 毎回編集者から送られてくる質問を読みながら、世の中には何と多くの悩みが存在するものだろうと感じています。特に、私が担当する夫婦、親子などの人間関係の悩みは、ちょっとした相手とのボタンの掛け違いから、誰にでも起こりうるようなこともあれば、いくら考えても答えの出ない、深く悲しみに打ちひしがれるような悩みまであって、そんな質問を前にして、私自身おろおろしてしまうこともしばしばです。

 しかしそんな中で、今まで誰にも言えなかったり、誰に相談しても心が休まらなかっただろう相談者の声にしっかりと耳を傾け、「よく相談してくれましたね。声をあげるのは勇気がいりましたね」と、全部を受けとめ労ってあげることで、相談者の心もほぐれるのではないかと考えています。どんな言葉も、心が開かないと入っていかないですものね。

天理教では遠い昔、親なる神様が、地と天とをかたどって、夫婦をおつくりくださったと聞かせていただきます。夫婦は、身体のつくりも役割も違いますが、お互いに認め合い、たすけ合って、陽気ぐらしへと向かう間柄なのだと思います。また、家族というのも同じで、親は子供を可愛いいっぱいの心で満足を与えて育て、子供は親に尽くす親孝心の心で通っていけば、いつも晴天の心で過ごすことができるのです。

 陽気ぐらしへと続く道を、夫婦、親子、家族でたどり、そしてその気持ちがお隣りお隣りへと伝わって、世界中が陽気ぐらしの世に変わっていくよう、今日の一歩を大切に歩みたいものですね。

 人生相談からみえてくる家族、それは今の世を映す鏡であると思います。よく見れば、私たちの周りには、同じように悩んでいる方が必ずおられることでしょう。「お元気ですか」「お困りのことはないですか」「何かお手伝いさせていただきましょう」温かい笑顔を添えて、ひと言でも声を掛けさせていただきたいと思います。

日本語には、きれいな言葉がたくさんあります。「恩送り」という言葉は、私の大好きな言葉の一つです。親神様からお借りしたこの命、元気に動ける有り難さに感謝して、そのご恩をどなたかに送りたいのです。

孫が、おじいちゃんを喜ばせようと作ったおみくじで、みんなが幸せになれたように、相手の気持ちを思いやる心と、それを行動に移す勇気を持って歩みたいと思っています。

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