目、きらきらと輝かせて

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ある若夫婦の近況報告から…。

「僕は今、以前の仕事を辞めホームヘルパーの講習を受けています。色々考えて、やっぱり自分は何か人の役に立つ仕事がしたいと思い、妻に話をしました。小さな子を抱え、新しい命も芽生えているこんな時期ですが、妻は一緒に頑張るからと励ましてくれました。収入面でも苦労をかけると思いますが、家族で頑張りたいと思います。」

数ヶ月後、今度は奥さんから

「彼の仕事がなかなか決まりません。何度か面接にも行っているようですが、思うようなところがなくて・・。
ところが今日ある病院の人事担当の方からお電話を頂き『僕は彼のあの澄んだ目が忘れられないんです。あんなきれいな目をした人は近頃いませんよ。奥さんは幸せですね。』と言われました。
彼は生活のことを考えて迷っていますが、自分の思い通りの仕事をさせてあげたいです。辛いときもあると思いますが、何より彼がいきいきとしていてくれたら、そばにいる私も子どもも元気でいられると思います。」

 お互いに相手を思いあえること、そしてどんなことでも正直に話し合えることは、夫婦として重要なことだと思う。その上に目指すものがあればもっといい。夢を実現したいという彼の目の輝きが、眼力のある人事担当者の心をも動かしたのだろう。二人の喜びのおすそ分けをもらったようで私も嬉しい気分になった。

誰もが小学生の頃、「私の夢」という題で何度も作文を書いたことだろう。
我が家でも三人の子どもはそれぞれ宇宙飛行士、医者、そしてアイドル歌手と大きな夢を抱いていた。無邪気な夢だが、今思うと、あの頃の子ども達の目はきらきらと輝いていた。大きくなると共にその目の輝きが失せていったのは、年齢のせいだけではなく、多分に私の責任であると思う。
日々の言葉がけの中で「お父さんの夢はね。お母さんの願いはね。」そういう一人称の話をしてこなかったことが悔やまれる。

先日ふと「もし今子どもを授かったら、理想的な子育てできるかも」とつぶやいたら、主人には即座に却下されたが、横から娘曰く「だから私がずうっと前から世話する弟か妹が欲しいって言ってたでしょ。でもまあ、お母さんが年で赤ちゃんが産めなくっても、この前の講演で聞いた先生みたいに、養育里親って手もあるんだから、めげない、めげない。」まるでマンガみたいな親娘の会話になってしまったが、視点を変えることでいくつになっても可能性は無限大だという気がした。

おとなになっても夢を持ち続けている人の目はどこかしら相手を惹きつけて離さない。目標も持たず、ただ今が楽しければ、自分さえ楽しければというようなその場限りの喜びが本当の幸せにはならないことを、私たち親自身が自らの生き方をもって子ども達に示してやりたい。

最近、縁あって難民救援の活動をお手伝いさせてもらうようになった。医療巡回、学校建築、奨学金事業と苦しい台所をやりくりして頑張っているスタッフには頭が下がる。活動を支える若者たちは、最初は日本とあまりにかけ離れた現地で、自分の無力さを味わうが、やがて一つ一つのハードルをクリアして「人ってスゴイ」という感動を心に刻んで帰国してくる。その目には、爽やかな光を宿して…。十五年間、この会を続けてきた友人も、紆余曲折があっただろうと想像するが、眼鏡の奥に光る目に、優しいが芯の強さを垣間見る。

『目は心の窓』たとえ小さくとも自分なりの志を持って、きらきらと生きていきたい。世界中の子ども達の明日へ思いを馳せながら、今、私に出来ることが必ずあるはずだと思うから。

2002年 天理時報特別号「人間いきいき通信」掲載
執筆者:吉福多恵子


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