相談文
教友のAさんは現在、夫と長男の3人で暮らしています。長男さんは、まだ結婚しておらず、今年で40歳を迎えました。「結婚願望はあるものの、なかなか出会いがない」とのこと。私は力になれればと思い、長男さんとお似合いそうな女の子を紹介したいと、Aさんに提案しました。すると、Aさんは「うちの子は、お見合いは上手くいかない気がする……」と。「まずは友達からでも」との勧めも、やんわりと断られてしまいました。相手の家族のことに、しつこく関わることは良くないとはいえ、長男さんの気持ちを察すると、少しもったいないような気もするのです。私はAさんの意見を尊重して、身を引いた方がいいのでしょうか。
回答文
親しい教友であれば、A子さん家族のこれまでの信仰心もよく知っておられることでしょう。だからこそ、何とか少し縁遠い息子さんが、早く良き縁に巡りあって、ますます一家が幸せになってもらいたいと思っておられるのですね。あなたの素直な優しさがお手紙にあふれていました。
私も、今までに何度か人にお見合いを勧めたことがありますが、なかなか上手く治まったことがありません。ですから、あなたの気持ちはとてもよく分かります。
しかしその一方で、A子さんが、息子さんのお見合い話に積極的に臨めない理由にも、心をいたしてみたいと思うのです。子どもの幸せを願わない親はいません。きっと、何か辛い思いをされてきての言葉であると思います。いくら長いお付き合いであっても、なかなか口に出せない思いがあるものです。どうかあなたには、縁談話が上手く受け止めてもらえないから身を引くなどと言わずに、どんな時にも心の内を話し合える良き友として、心の支えになってあげてください。
さて、昨今の結婚事情を見ていると、様々な問題があるようです。A子さんの息子さんのように、結婚したいという気持ちはあるものの、なかなか出会いがないということも一つです。私の周りでは、お道の人たちによる「お見合いパーティ」が開かれています。そうした場に、是非とも参加してほしいと思います。親の勧める見合いであれ、出会わなければ何も始まらないのですから。私は、親には大きな責任があると思います。子どもの自主性を尊重することは大事なことですが、親が助言を控えたり、子どもに遠慮しているのは、違うと思うのです。十分に話し合える親子の関係を、日頃から築いていくことも大切ですね。更には、子どもの結婚観には、親の姿が少なからず投影されているのではないでしょうか。両親のような夫婦になりたいという気持ちを子どもの心に育てるのが、今の社会が抱える様々な結婚事情を解決に導くキーワードとなるのではないかと思います。
『天理時報』人生相談 回答者:吉福多恵子
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