『陽気』信仰随想 2009年度 生き方

託す

毎年冬になると、私の使っているタンスの一番下の引き出しが閉まらなくなってしまいます。力を込めて押してもびくともしません。ところが水もぬるむ頃になると、自然と閉まるようになるのです。「あぁ、春が来た・・・」と感じます。待ち遠しい春です。

次男の結婚が決まりました。本当に嬉しく思います。

子ども達が小さい頃、「どうか三人の子ども達が揃ってお道を通ってくれますように」と、それが私たち夫婦の願いでした。子ども達の成長に合わせて夫婦で話し合い、どうすれば願いに近づけるかと、時には軌道修正しながら私達も共に育ってきました。

長男と次男が相次いでおぢばに引き寄せて頂き、それぞれに御用にお使いいただけたことは、大きな喜びでした。「天理教教会本部」と染め抜かれたハッピを身につけた子ども達を見たとき、そのハッピの重さを感じてほしいと、色々なことを話しました。教祖のお屋敷に直々に伏せ込める幸せ。教祖恋しさに帰ってこられる人々に「喜ばさずには帰されん」と思し召された親の思いを、我が心として努めてほしいなどなど。隋分大げさだな、と思ったかもしれませんが、きちんと話を聞いてくれ、少しは心の隅に置いてくれていたと感じています。

昨年、みのり寮の幹事となった娘も、先日久しぶりに会えば、随分幹事らしく顔つきが変わってきたように思えて、育てていただいていることを実感しました。私自身が子ども達の年齢の時、どうであったかを思い起こせば、皆十分に親を追い越してくれていると、有難さが身に沁みます。

三人の子らの名付け親である今は亡き父が、我が子達に託して下さった思いのいかに大きかったかを、孫を与えて頂いた今、察することが出来るようになりました。長男は、「子育てを通して親である私たちが成るほどの人に育つように」と成人。そして、次男祐介の時は、「祐にも介にも『助ける』という意味があるのだよ」と。長女は、道恵と名づけて下さいました。

どんな山坂もきっと乗り越えてくれるようと願った親々の思いに守られて、子ども達の今日があります。新たな結婚というステージで、今度は二人に託された親の思いを求める努力こそ、何よりの親孝行であると、門出を待つ我が子に祝福と共に伝えたい母です。


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