『陽気』信仰随想 2009年度 子育て 生き方

家族の絆

もう十年ほど前のこと、次男が四国で大学生活を始めました。ちょうど携帯電話が急速に普及し出した頃のことです。「学生の身分で携帯なんて」と思っていた私は、次男が携帯を持つことに反対でしたが、結局は一年間のバトルの末、軍門に降ったのは私の方でした。持たせてみると、呼び出しを頼む手間もなく、直接連絡できる便利さは私にとっても有難かったのですが、何回かけても通じない時には、却って気を揉むハメになって心配の種になったりもしました。

同じ頃、長男は南アフリカに在住していましたが、時々出勤前に近況報告を送ってくれ、又運良く同じ時にパソコンを開けていればチャットで話も出来て、飛行機で一日半も離れた場所にいるとは思えない気がしました。そういえば、一番近いはずのおぢばで学寮生活をする娘が一番連絡がつき難いと、家族の間で笑い話になったものです。

さて、現在私がご用を務めさせて頂く「ひのきしんスクール」では、家族の事情に関わるおたすけを支援する講座を開いています。その中で、ある先生から、「絆」は、「ほだし」とも読むと教えていただきました。辞書を繰れば、「馬を歩けなくするために足にかける縄。束縛すること」とありました。「そうなのか」自分が今まで心に蟠っていたことと繋がった気がしました。

考えてみれば、虐待、養育放棄、DVといった夫婦や親子の問題とは、ちょうどいい距離に絆(ほだし)がかけられていない状態なのではないでしょうか? また、家族の関係は、様々に変化するものですから、その時々に絆(ほだし)の縄加減を調節することが求められます。更には、先ほどの我が家の話のように、離れて住む家族が増えている現在、今年の婦人会総会で真柱様がお話くださった「心を寄せ合う家庭が、団欒を持つ家庭」とのお言葉が胸に響きます。

我が家には親からの虐待や養育放棄で深く心に傷を負った子どもたちがやってきます。辛い経験をしているはずなのに、彼らはいじらしいほどパパやママが大好きです。途切れた絆を結び直すために、実親とも時間をかけて関わっていきたいと思います。今、教会という家庭で、教会家族も信者家族も周りの人々も、みんなが心を寄せ合い、教会団欒を拡げていきたいものです。


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