高校三年生の里子は、大学入試を目前にしています。少々引っ込み思案で声が小さいのを克服し、面接対策に繋げようと、夕食後に音読を始めました。毎日10分くらいのことですが、努力の成果は目覚しく、随分大きな声が出るようになりました。今、読んでいるのは、「1リットルの涙」。難病と闘う少女の日記は聞いていても胸が押しつぶされそうです。だんだんと失われていく機能、今まで当たり前にできたことが、目に見えて出来なくなる過酷な現実。戸惑いと悲嘆の中で、懸命に前を向いて生きる姿は、形は違っても苦しい日々を生きてきた里子にも、き ...