小さい頃、多分小学三、四年生頃のことだと思います。学校から帰ると茶の間のテーブルの上には、いつも色々な本に混じって、「陽気」の本が置いてありました。・・・・・・ 里の亡き父は本が好きでした。時間があれば、日当たりのいい縁側に腰を下ろして、ちょっと猫背になりながら、本を読んでいた姿が今も目に浮かびます。「陽気」はそんな父がいつも読んでいたのでしょう。そして、それがいつからか小学生の私の愛読書になっていました。でも、ちょっと困ったことには、「陽気」を読むと、決まって鼻水と涙で顔がぐちゃぐちゃになるのです。そん ...